ロログ

ネタバレ映画感想とかいろいろ

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』感想

落ちぶれた映画スターがブロードウェイで再起をかけて奮闘する話なんだけど、皮肉の効かせ方が尖っていて好み。リーガンのキャラクターも良かった。面倒なことは親友に任せきりだし不満ばっか言うしよくキレるしでろくでもない男なんだけど、それ以上に現実と幻想を行き来している姿が痛々しくていい。マイケル・キートンの鬼気迫る演技も良かった。マイクもリーガンと違うタイプのクソ野郎で、こちらもいいキャラクターでした。

BGMがほぼドラムの音で構成されているのも独特で、そのドラムの演奏者が出てくるところも最高だった。緊張感と浮遊感を演出するワンカット長回しで撮影されたかのような編集もすごい。だからか劇場の暗くて狭い廊下や、室内から漂う閉塞感が濃いんだよな。リーガンの中の現実と幻想がシームレスに描写されるのも面白かった。ワンカットの演出もそうだけど、この作品はとにかくシームレスな演出が強く印象に残る。だからこそラストで映像がプツリと切れるところは見ている私が夢から覚めたような気分になったし、リーガンは舞台で銃で脳天を撃ち抜いて死んだのだと実感も出来た。都合良く鼻だけが吹っ飛んだ、てのは納得行かなかったもんな。ここは人によって解釈が異なるだろうけど、私は実際のリーガンは酷評された挙句に彼の舞台は話題にもならず、舞台の上で演じながら死んでしまったことや、ブロードウェイをパンツ一枚で人々に囲まれながら走っていた姿が再び掘り起こされてセンセーショナルに報道されたのではないかと想像してます。病室でのシーンは全てリーガンの夢見た理想的な結末だと考えるとすごく痛々しいけど、この痛々しさが好き。

しかしジョージ・クルーニーやらメグ・ライアン(この人のネタはブラックだった)やら色んなスターの名前が出てきたけど、『アイアンマン』ごとRDJがdisられてたのが一番笑った。