奈須きのこが好きな映画の一つに挙げていたので鑑賞。哀しい物語なのに、ものすごく後味のいい映画だった。
作中の殆どはエドワードの奇想天外なホラ話を再現しつつの回想パートになっており、ティム・バートン監督らしいファンタスティックな映像美に満ちていて楽しかった。特に一面に敷き詰められた水仙のシーンが幻想的で可愛い。最初に辿り着いた時のスペクターの街も美しいのにどこか不気味で、だから後半の寂れたスペクターの街並みとの落差がなんだか不思議だった。
ストーリーはホラ話をすることで周りを幸せにしてきた父とそんな父にうんざりしている息子の話で、とにかくウィルの父親との距離の詰め方がホラ話の否定から入るから、毎回噛み合わない親子がじれったい。だから父親の真意を知ったウィルが今際の際の父親にホラ話を語るシーンは、これまでの展開が効いてきてぐっと来た。エドワードがどれほど愛されていたのかを、息子が死に方を語ることで伝えるのが泣ける。そうしてウィルがホラ話を継承し、自分の息子にも伝えていく終わり方になっていたのがとても好き。ストレートな物語賛歌で、最終的には "現実と空想の共存" へと着地するのが美しかった。