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『アメイジング・スパイダーマン2』感想

アクションはスパイディらしく派手だしスローモーションを取り入れた演出も格好良かったけど、主人公にイライラさせられたり同情したりする映画でもあった。

前作で警部との約束を「守れないこともある」とよく分からない開き直りに至ったはずが、今更また悩んでピーターが情緒不安定になるんだけど、これに関しては「やっぱりな」という感想。あの約束はそれだけ重いものだったし、前作の時点でももうちょい丁寧に扱って欲しかったと今でも思っているくらいで、だからこそ警部も酷な言葉を残してしまったなとピーターに同情もした。そうして見兼ねたグウェンから別れを切り出されるんだけど、それからも二人で会うわキスもするわでグダグダ。この二人のグダグダしたイチャイチャが多くてダレた……。挙げ句の果てに、橋に巨大な「I LOVE YOU」のメッセージを蜘蛛の糸で書くという寒いパフォーマンスを披露するのがもうアレ。ヒーローであるスパイダーマンが敵に狙われるのは必至で、グウェンの存在は弱点になるから伏せなきゃならんのに自分から敵に知らせるようなことをするのは何なんだ。案の定、グリーンゴブリンにはグウェンどころかスパイダーマンの正体まで知られた上に、グウェンは二人の戦いに巻き込まれて死んでしまうのがもうね……。ヒロインが死ぬとは思わなかったから驚いたけど、それ以上にピーターの軽率な行動による大失態に椅子からひっくり返った。しかもグウェンはオックスフォードに行く直前で、彼女もこのために頑張ってきたんだろうから遣る瀬無くなる。同時にピーターの人生の重さも実感させられた。ベン叔父さんを亡くし、呪いのような最期の言葉と共に警部を亡くし、今回はグウェンを亡くしてしまう。どれも自分が関わってるというのがまた辛い。

今回のヴィランであるマックスとハリーのキャラクターは良かった。唐突に登場した親友ハリーにこれまた唐突に病気設定が生えてきた時は驚いたけど、デイン・デハーンの演じるハリーが魅力的だった。スパイダーマンの血を求めて拒絶された時や、エレクトロに「君が必要なんだ」と必死で求める時の表情がいい。そのエレクトロも悲しいエピソードが満載で、特に彼の職場での頑張りが報われないのがすんげえ泣ける。そうして生まれた歪な承認欲求が今回の悲劇に繋がってしまうのが何ともな。マックスを演じるジェイミー・フォックスが好きな俳優だったから、彼の痛々しい演技を堪能出来たのも美味しかった。ただ、エレクトロとの戦いが呆気なかったのは残念。その後も特に言及はなかったと思うけど、マックスの人生を思うとめちゃくちゃ悲しくなるなこれ。思えばエレクトロもグリーンゴブリンも、誕生したきっかけがスパイダーマンにあるというのが切ない。スパイダーマンに非はなく、むしろマックスのことはちゃんと覚えていたし、ハリーを拒絶したのも彼を思ってのことで理由も説明していたから余計に。この物悲しさはとても好き。

あと序盤の、いじめられていたジョージを助けて彼の作った扇風機を褒めた後に家まで送るシーンが好きなんだけど、これがラストで活きてくるのがいい。それだけに、このラストの先を見る機会が永久に失われてしまったのは残念。