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『アイアンマン3』感想

アイアンマン3 (字幕版)

アイアンマン3 (字幕版)

  • ロバート・ダウニーJr.
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初っ端からトニーが『アベンジャーズ』での戦いからPTSDと不眠になっていたことに驚いて、自分の中のトニー・スタークのイメージとの擦り合わせにちょっと時間を要した。でもよく考えたら彼は『アイアンマン2』でも生命の危機を前にして自棄になったこともあるので、実はものすごく繊細なのかもしれない。だからこそトニーは以前「スーツを脱いだらただの人間」とキャプテンに言われていたことも気にしていて、でも今回のストーリーはトニーがその回答に辿り着き、観客に提示する映画になっていたのが痛快だった。トニー・スタークの最大の武器は財力でもスーツでもなく、発明力にこそあるのだと。ハーレーの倉庫で武器を作るシーンで、彼は生粋のメカニックなんだなと実感できる。ハーレーの何気ない一言で原点に立ち返る流れも良かった。

だからか今回はアイアンマンではなくトニーが生身で戦うシーンが多いのも特徴で、特に終盤のペッパーと大統領を助けに行くところからのバトルシークエンスは最高だった。トニーが今まで作り上げた大量のスーツ群が集結するのが熱い。欲を言えば一体ずつじっくり見たかったな。でもトニーが次々とスーツの着脱ギミックを活用しながら攻略していくのが、トニーだからこそなし得た戦い方でクッソ面白い。スーツを手段と割り切っているところも寂しくはあるけど、これでよかったのだろうとも思う。遠隔操作が可能なmk.42で、エアフォース・ワンから投げ飛ばされた乗客やスタッフを回収するシーンも燃えた。安全な高さから海に落とした後、みんなの無事を確認すべく振り返るアイアンマンが惚れ直すくらいに格好良かった。一方でトニーの豪邸が攻撃を受けるシーンも破壊のカタルシスが凄まじく、主人公がたいへんな目に遭っているというのにテンションがブチ上がってしまった。ここでペッパーがスーツを着せられるところも好き。まさかアーツ・リアクターまで取り外すとは思わなかったけど、破片が心臓のそばにある状態は危険ではあるので、この方がいいのかもしれない。なくてもスーツは着られるのだろうし。まさかもうスーツは装着しない、というわけではないんよね?

トニーの発明を最大の武器とする答えを描くのと同時に、発明を悪用するキリアンが登場するんだけど、彼はトニーの傲慢さが生み出した敵なのでトニー本人の手で決着をつけて欲しかったな。別にペッパーが戦うなとは言わないけど、彼女はトニーの問題に巻き込まれただけなのに(それもいつものことなんだけども)最後を彼女が全部持っていくというのはなんか腑に落ちないというかな……。スーツを爆破させてしまうのももったいないよーな。ラストはあんまり私の好みではなかったかもしれない。

マンダリンがキリアンの仕立て上げた仮想敵でしかなかったという展開もちょっとまどろっこしいように感じたけど、最初のテレビでのパフォーマンスの時点で言ってることに中身がなく薄っぺらいな、と思ってたら本当に中身がなかったというオチにはなるほどな、とも。まさかあんな人を食ったような陽気なおじいちゃんだとは思わなかったけども。

ところでラストのトニーの話相手が誰なのか一瞬分からなかったんだけど、バナーだったと後で知って驚いた。結構仲良くなってるのねこの二人。