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『イノセンス』感想

映像や音楽は今回も高品質だし、終盤のバトーと素子の再会は熱かったので嫌いな作品ではないんだけど、面白かったかと聞かれたら肯定はできないかな、と。前作以上に会話が回りくどく、「今は何の調査をしてるんだっけ?」「ここには何しに来たんだっけ?」という疑問が多発する。観念的な会話が多いのは前作からだったけど、今回の後半のキムとのやり取りは更に難解でついていけなかった。引用だらけの台詞群に関しても、電脳世界と繋がっているキャラクターがネットで検索して出てきた一節を引用しているらしいことが中盤のバトーとトグサの会話から察せられたし、理解できなくても「ガイノイドによる殺害事件の謎を追う」というストーリーを堪能するのは問題ないけど、単純に引用だらけの会話はつまらないなと思ってしまった。

何より『イノセンス』という映画は地味なんよね。失恋を引きずっているバトーが主人公になっているからか、とにかく華がない。だからこそ択捉経済特区の祭りのシーンや素子との再会シーンが輝くのだろうけど、これらを除く映画のほとんどの時間の空気と画面が暗いので、見ているこちらのテンションがなかなか上がらなくて困りました。前作映画で初めて『攻殻機動隊』の世界に触れた私はともかく、キャラクターに思い入れがあれば違ったのかもしれないけども。