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『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』感想

難解だと聞いていたのでなかなか見る気になれなかったけど、気まぐれを起こして見てみたら面白かった。いきなり映画から入ったから「ゴースト」という言葉の意味を把握するのに時間がかかったけど、「生命の本質の定義」というテーマは他の作品でもよく見るからか思ったよりは取っ付きやすかった。あと私はこの作品を「電脳から生まれて意思を持つまでに至った存在が、人間だったけど脳と脊髄以外を義体化したことでアイデンティティが希薄になっている素子に惹かれて添い遂げるラブストーリー」と捉えたので、哲学的な台詞回しも多いけど実はシンプルな脚本なのかなという印象もあります。電脳化の進んだ徹底した世界観(『マトリックス』にどれほど影響を与えたかがよく分かる)や、香港の一区画のような退廃的で雑然とした街並み、川井憲次による音楽も好み。一時間半もないのでサクッと見れるのも最高。

あと「水」の演出が素晴らしかった。まずオープニングにやられてしまったんだけど、素子の義体が出来上がっていく(?)流れがいい。軽い気持ちで見始めた私がぐっと掴まれた瞬間でした。光学迷彩を着た素子と操られた男との水上格闘シーンも、水が跳ね回るのもあって見ていて楽しい。ダイビング中の素子が海面に浮かび上がり、クルーザーで素子とバトーが会話するシーンも好き。この映画は会話も面白いんですよね。だからキャラクターもいいし公安9課の面々はみんな好きだけど、特に素子は魅力的だったな。有名な「そう囁くのよ、私のゴーストが」という台詞も聞けて満足した(あれは「私の勘ではそう言っている」って意味だったのかー)。