ロログ

ネタバレ映画感想とかいろいろ

『リプリー』感想

あらすじは面白いのにマット・デイモンの演じるトムが最後まで好きになれず、見終わる頃には徒労感が残ってしまった。なんか内面がよく分からんのよなトムって。息を吐くように次々と嘘を重ねていくから本心や真意が見えづらいし、嘘をつく時も大抵場当たり的で見ていて面白くない。序盤の蛍光色の海パンに衝撃を受けた時はちょっとワクワクしたんだけどな……。ボートで衝動的に殺したディッキーの死体に抱かれながら陶酔するシーンはシチュエーションとしては好きなんだけど、ディッキーに殺意を抱くまでの気持ちの変化が分かりづらくてあまり刺さらなかったのが残念でした。

ジュード・ロウは金持ちの放埒なクズ坊ちゃん役がはまっていた。フィリップ・シーモア・ホフマン演じるフレディも「めっちゃ嫌なやつだな!」って感じが出ていてとてもいい。トムが必死にディッキーに取り入ってローマ旅行に誘われるまでになったのに、当日はディッキーがフレディと遊び倒してトムがほったらかしにされるところなんて私も似たような経験があるだけに最悪で最高だった。マージとメレディスの女性陣も可愛くて魅力的で、後半に登場するピーターもいい人だったな。トムが嘘をつくことなくピーターと早く出会えていたらまた違ったんだろうけども。トム以外のキャラクターはみんな良かっただけに、トムだけが最後まで苦手なままだったのが惜しい。ただ、名作と名高い『太陽がいっぱい』はそのうち見ておきたいなとは思った。