ソン・ガンホが好きなのと、『Fate/Zero』の切嗣を彷彿させるようなあらすじに惹かれて鑑賞。ピンチになる要素をあれもこれもと詰め込んでいて冗長ではあったけど、概ねエンタメムービーとして楽しめました。不安定な機体や暴風の中にいるかのような混乱する機内は迫力があったし、地上の刑事と空中の元パイロットをそれぞれ豪華なスターが演じているのが贅沢。コロナ禍の今だとバイオテロによる「感染」の恐ろしさも想像しやすいし、犯人がさっさと退場するのも潔くていい。
ただ、ウイルス潜伏期間のばらつきや、後半の日米の着陸拒否からのグダグダ展開は気になる。航空自衛隊のシーンはまあフィクションだからと流せたけど、抗ウイルスの雑な扱いには萎えた。変異ウイルスだから効くかどうか分からないとかで後になってゴチャゴチャするのがかったるい。だから終盤の刑事の身を挺した行動にもあんまり乗れなかったし、その後手のひらを返す韓国の着陸反対派の描き方もどうかと思う。機内の感染した乗客が降りないことを伝える場面や最後のビデオ通話など、やたらウェットなドラマ演出もくどい。この辺りはあまり好みではなかった。
