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『楢山節考』感想

しんどい映画だろうなと事前に予想はしてたけど、しんどいというよりは生々しかった。極貧の山村を維持するための掟や慣習を描いており、口減らしのために赤ん坊を捨てたり老人を山に置いてきたりするのに、長男だけは子孫を残すことが許されている。その長男もゆくゆくは我が子によって山に捨てられ、我が子も孫によってやはり捨てられる、という残酷な循環構造がやるせなく、しかしこれ以上はないほどに人間的で面白かった。性交シーンでは動物の交尾の映像が挿入されるのもあり、人間もまた動物なのだと思わずにはいられない。あと犬を犯したり、ちょっと前まで死にかけていた村のおばあちゃんを相手に初めてセックスして歓喜したりと、性欲を持て余した利助の姿はかなり印象に残る。

でも一番忘れられないのは、雨屋一家を村人が襲撃して生き埋めにするシーンだった。私はこういう地獄絵図を見るのが大好きなので見られてたいそう満足しました。しかし、けさ吉はかなりのクズだったな……。彼は将来、自分の親を捨てることが出来るのか。

見終わった後に緒形拳が『鬼畜』では子供を捨て、本作では母親を捨てていることに気づいたけど、どちらも素晴らしい作品でした。彼は苦悩する役がはまるんだろうな。