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ネタバレ映画感想とかいろいろ

『ミザリー』感想

「公式が解釈違い」という言葉はよく使われるし私も経験があるけど、要するに「自分が気に入らない」という話だと思うんですよねだいたいは。それでも私は「自分の好みに関わらず作家が生み出したものは絶対である」という考えがあるので、気に入らなくなるとその作品から離れてしまうけど、これが健全な作品との付き合い方かなと自分でも思っています。しかしこうした「解釈違い」に耐えられないのが本作のヒロインであるアニーで、常軌を逸した恐怖の存在として描かれているけど、彼女の気持ちがまったく理解できないのかというとそうでもない。特に雑なクリフハンガーにアニーがキレるシーンは「わかるわ〜〜〜」ってなっちゃったもんな。終盤、回復しつつあるポールの足にアニーがハンマーを思い切り振り下ろすシーンは強烈だったけど、それ以上にアニーに共感できたこのクリフハンガー云々のシーンが一番印象に残ってしまった。そんなアニーに一番ダメージを与えたのが「結末が綴られた完成原稿をポールが燃やした瞬間」だったけど、序盤にアニーがポールに強要したことが、自分にも返ってきているのだと思うと味わい深いものがあります。

表情やテンションがコロコロ変わるアニーを演じたキャシー・ベイツは素晴らしく、オスカー受賞も納得だったけど、ポール役のジェームズ・カーンも良かった。特にバスター保安官がアニーにショットガンで撃ち殺された(おじいちゃん可哀想……)瞬間の茫然とした表情がいい。