前作が素晴らしかったので期待してたけど、面白かったところはありつつも総合するとやや期待外れだったかなと。事前に聞いていた通り、ネゴシエーションが一切通用しない暴力の権化のような上林を演じた鈴木亮平は凄かったけど、キャラクターがどれほど良くても作品が面白くなるとは限らないんだよな、ということも久しぶりに実感した。特に前半はテンポも悪く、ピアノ講師殺害事件から話が広がらず散漫になってるよーな。事件に纏わる停滞については一応理由があり、後に分かるようになるけどそれが面白さには寄与してないように思うのです。
ただ、チンタがクローズアップされ始めると徐々に面白くなっていく。チンタの結末は早々に予想がつくけど、上林の濃いキャラクターと村上虹郎の演技が良かったのが大きかった（在日コリアン同士なのも重要）。私がこの映画に惹きつけられたのはチンタを軸とした描写にあり、上林もそうだけどスパイとして裏で繋がっていた日岡とのやり取りもいい。逆に、日岡と上林の話にはあまり興味が持てなかったな。というか今回の日岡は上林とチンタに押され気味で、前作にあった凄味がなくなったなと感じたけど、最後まで見ると監督や役者も敢えてそのように「日岡」というキャラクターを作り上げていることが分かるのが、なんというか如何ともしがたい。まあそう簡単に大上のようにはなれないということだろうし、あるいは大上が生きていても上林という核弾頭を上手く御せなかったのかもしれない。
上述したように日岡と上林の対決にはあまり興味がなかったので、クライマックスのカーチェイス以降は再び話に乗れなくなったけど、終盤の嵯峨管理官の醜態は良かった。滝藤賢一はいいですね。
