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『RRR』感想

詳細も知らぬまま急遽見に行ったので、エンタメの暴力みたいな映画かな、とだけ予想してたけど本当にその通りだった。飛ぶし舞うし歌うし踊る。「インド映画といえば踊る」という印象があるけど、それに対して歌とダンスもインドの誇りなのだと高らかに叫ぶような、あまりにも力強いミュージカルに圧倒されました。ミュージカルパートが物語の進行を邪魔する印象もないんよね。特にナートゥダンスは序盤の見どころだったけど、二人が踊り出し、ビームを嘲笑ったイギリス紳士を含めた多くの人もダンスに加わり、やがて勝ち抜きダンスバトルに移行して、最後はジェニーに憧れるビームのためにラーマが華を持たせようと転ぶ、とダンス中も、物語が動いていく。だからここは結構長いダンスシーンなんだけど飽きなかった。

アクションもダイナミックで楽しい。膨大な数の群衆にもみくちゃにされながらラーマが警棒一つで戦う冒頭は、ラーマ一人の無双と群衆の数の暴力が対比もあって凄まじく、最初から見入ってしまった。橋で出会った二人が子供を助けるシーンも、運命を感じさせる要素が加わるのが楽しい。でも一番熱かったのは中盤の屋敷でのビームと動物たちによるサーカスじみた乱戦と、そこからビームとラーマが互いを敵だと認識して戦うシーンだった。二人とも強いから、バトルの所作や画一つ取ってもいちいち見応えがあるんよね。終盤も主役二人の最強同士の肩車アクションがバカバカしくて楽しい。特に上のラーマが両手でライフルをぶっ放して、弾が切れると下で支えているビームがリロードを担当するのが好き。スローモーションの多用もジョン・ウー作品かと思うほどで、でもきちんと格好良かった。

ストーリーも歴史を大胆にアレンジした上で熱い友情を描いていて、難しいことは何もない分かりやすさが良かった。ヒゲ面の主人公二人も顔立ちが異なるので、顔を覚えられない私でもすぐに見分けられるところがポイント高い。ただ、ラストはちょっと物足りなかったな正直。イギリスに立ち向かえるだけの大量の銃器を求めていたラーマが、鞭打ちの際に民衆の心を動かしたビームの歌に感銘を受けてビームそのものに「武器」としての価値を見出していたので、てっきり歌って踊って解決して大団円を迎えるのかと思ってたんよね。けど見せられたのはビームが銃でスコット総督を射殺するという着地で、ちょっと拍子抜けしてしまったというか。あと主役二人の対決が一番熱かったので、スコット総督と夫人とも対決はちょっと消化試合のように感じてしまったというのもある。

そうはいっても三時間分の熱量を、大きなスクリーンとすさまじい音響で堪能できたのは嬉しかった。さすがにちょっと長すぎるなとは感じたけど、気持ちが沈むようなニュースも多い中でエンタメで殴り飛ばしてくれる快作なのは確か。面白かったです。