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『サマー・オブ・84』感想

サマー・オブ・84(字幕版)

サマー・オブ・84(字幕版)

  • グラハム・バーシャー
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性欲を持て余した少年たちによるノスタルジックなひと夏の冒険物語、かと思いきやシビアな着地を見せられたのが面白かった。少年の正義感や好奇心の先に待っているのは、必ずしも優しい結末とは限らない。

序盤から容疑者を一人に絞って進行していくのでちょっと単調ではあるけど、マッキーのシロかクロかなかなか判別できない描き方は絶妙だった。冒頭でデイビーが15歳だと知ったマッキーが「最高の年齢だ。冷凍保存したい」と気持ち悪いことをぬかしてたのが強烈だったけど、だとしてもマッキーを犯人と決めつけるのは早計で、でもあの発言はさすがに気になるな……みたいな感じで上手く揺さぶってもらえたなと。しかし他の作品でもよく見るけど、デイビーの両親やニッキーが言ったような「警官だから犯人じゃない」という理屈はよく分からん。私は確かな証拠がないと落ち着かないタイプなので、こういった根拠としては弱い主張を見るたびにもやもやしてしまう。

まあ結局マッキーが犯人だったけど、いち早く容疑者を絞って真犯人を突き止めた主人公が英雄になる、という結末にはならないところが好き。不謹慎にも殺人事件の発生に興奮し、承認欲求を満たすために少年探偵団を気取って他人のスペースを無断で荒らした末に友人も巻き込んでしまった。子供の浅はかな行動の代償が重い。だから「お前のせいだ」「お前に人生を奪われた!」と身勝手にも激昂するマッキーに、デイビーが泣きながら「ごめんなさい」と謝ってしまうシーンは苦いものが込み上げてくる。

友情物語でもあるけど、四人の友情というよりはデイビーとウッディの友情が強調されており、しかしウッディはデイビーと行動を共にしたことで殺されてしまうのが本当に意地が悪いというかなんというか。更にイーツやファラディとの友情も終わり、ニッキーも引っ越してしまう。『E.T.』や『グーニーズ』や『スタンド・バイ・ミー』といったジュブナイルの名作へのアンチテーゼにもなっている、未熟な主人公の青春の終焉が苦くて美味でした。