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ネタバレ映画感想とかいろいろ

『レクイエム・フォー・ドリーム』感想

鬱映画としてよく挙がるタイトルだけど、最初から四人のうちハリー、タイロン、マリオンはヤク中の上にクズだから「そらそうよ」という展開しか起きないし、ストーリーに特筆すべきところもない。けど、独特のカット割りと音の演出がコミカルかつハイテンポで面白いのと、劇伴が素晴らしいのと、何より役者の演技が良かったので意外にも楽しめた。特に孤独と承認欲求をこじらせて堕ちていく老女を演じたエレン・バーンスタインがいい。あと役者の演技に迫力があっても感情移入できるキャラクターがいないせいか、見ているこちらの気持ちが沈むことはなかったけど、その分思った以上に気楽に見れた。

印象に残っているのはハリーが久しぶりにサラに会いに行くところで、ダイエット・ピルとして処方された薬は危険だからやめろとハリーが諭した時は「お前が言うんかい」と笑ってしまったし、母親を止められないと悟ったハリーが帰りのタクシーの中で泣いて、その後泣き止むためにまたドラッグを飲むシーンも、悪循環の虚しさを感じる前に演出のせいで吹いてしまった。あとみんなが胎児のように丸まって寝るラストカットも好き。

しかし酷い医者ばっか出てくるのなこの映画……。