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『勝手にしやがれ』感想

勝手にしやがれ(字幕版)

噛み合わない男女を描いているのだろうけど、ぶっちゃけしょーもない内容なんよねこれ。でも最後まで観ていられたので変な映画だなとも思った。とにかくミシェルが窃盗常習犯のクソ野郎なんだけど、刹那主義を貫こうとするこの主人公の言動のことごとくが痛い。サクッと人を殺し、殺人のことは忘れたかのようにパトリシアに会い、他の男とデートするパトリシアを付け回し、家にも勝手に上がり込み、セックスしようだの脱げだのとそんなことばっか言う。これを「格好良い」とは到底思えないな私は。頭の中はちんこしかないんですか?と思ってしまった。タクシーに乗ってる時のミシェルの振る舞いも格好悪くて見てられない。それでも序盤のミシェルとパトリシアのドライブ中のやり取りなど、好きなところもある。

「君なしじゃいられない」
「いられるわ」
「いたくないんだ」

ここは印象に残ってるんよねなんか。二人の会話はずっと不協和音を奏でていてつまらないのだけど、そのつまらなさに妙な心地良さがある。ちなみにミシェルはパトリシアを愛してないと私は感じたけど、ミシェルは自分では本気でパトリシアを愛しているのだと思ってそうではある。むしろパトリシアのほうが本気になりかけているように見えたけど(ミシェルの罪状を伝える新聞を見て彼が既婚者だと知り、パトリシアがそこにだけ強く反応するのが面白い)、結局は裏切ったので私には読めなかったな最後まで。そうしてミシェルは序盤に提示されていた通りに死ぬのだけど、「最低だ」と言いつつも満足そうだったので溜飲は下がらず「このやろう」という感想になった。ただ、撃たれたミシェルがよろめきながら走る姿を、後ろからカメラが追う映像は格好良かった。

カメラといえばぶつ切りのようなカットが多く、サブスクで見ていたので最初はネット回線の不調かと思ったけど、あれが噂のジャンプカットだったらしい。確かに面白い表現でした。ちなみに初ゴダールだったけど、面白かったかと聞かれたら面白くないし好きでもない。でも嫌いでもない。