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『スポットライト / 世紀のスクープ』感想

スポットライト 世紀のスクープ (字幕版)

都合の悪い事実を隠蔽するカトリックの闇を記者が暴いていくのを見ていたら、今まさに問題になっている旧統一教会のことを思い出さずにはいられなかった。宗教というのは思った以上に良くも悪くも人々の暮らしに根を張っているのだなと痛感させられる。派手な演出もなく淡々と描かれるので地味ではあるし、事件に関わる人物が多すぎて話についていけないところもあったけど、それぞれの役者の演技が良かったのと、次々と事実が反面していくところにミステリのような面白さもあって退屈はしなかった。

無関心でいることの罪を描きつつ、無関心を糾弾しようとする記者も過去にスルーしていたことが明らかになったり、記事にするタイミングを見計らっている間に虐待されたばかりの子供たちを目の当たりにしたり、大団円とは行かないラストも真摯だったと思う。

しかしエンディングで表示される虐待のあった都市一覧の多さにはげんなりしたし、ロウ枢機卿が転属になっただけで終わったというのも酷い。今でも実際に神父による虐待のニュースは飛び込んでくるのだからやり切れなくなるけど、恐らく隠蔽も行われているのだろうからニュースになるだけマシなんだろうか。レイプ事件が公になるというだけでマシ、と考えること自体に反吐が出るけども。先述の都市一覧に日本はなかったと思うけど、日本でも強大な権力による隠蔽は日常茶飯事なので他人事でもないんよな……。