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『ラスト・アクション・ヒーロー』感想

ラスト・アクション・ヒーロー (字幕版)

あまり評判は良くないらしいけど、好きな要素はたくさんあったし素直に楽しめたところもあったしで思った以上に満足した。とはいえ気になるところもあって、まずキャラクターが弱いのは惜しい。ジャックはシュワちゃんの演じる主人公としてはありきたりで、嫌なところはないけど特別惹かれるところもなく、悪役も印象に残らないのが寂しい。ジャックとベネディクトは劇中劇の存在だからこそ、面白みのないキャラクターになってる気もするのが皮肉というかなんというか。しかし現実の存在である映画に恋する少年ダニーも、ちょっと生意気なところがあまり好きにはなれなかったんよね。ニックも恐ろしさのあまりずっと自分が使えずにいたチケットを子供に渡しちゃうところが理解できないというか、だいぶアレなおじいちゃんだよな。

ただ、映画パロディの数々には楽しませてもらった。『レディプレ』系で というか、『T2』のT-1000や『氷の微笑』のキャサリン(『トータル・リコール』の縁?)のカメオ出演、『アマデウス』ネタ、スタローン主演の『ターミネーター2』のパネルにはニヤニヤした。ジャックが現実に来て「自分のすべてが想像の産物である」という事実に苦悩するところなんかは、ありがちな展開ではあるけどかなり好みの切り口だった。これでジャックに個性と魅力があれば良かったんだけども……。しかしそんなジャックに「現実は映画より悪い」とニックが返すのは、「いやそういうことじゃねえだろ」感がすごい。苦しんでる人に「お前の環境はまだマシ」とか「お前はまだ若い」とか安易に言うのはあんま好きじゃないので、ここはすんげえ気になってしまった。現実に行ったベネディクトを追う時、帰り道を心配するジャックに「せこい」と言うダニーにもちょっと引っかかったんよね。この現実サイドの二人からは実際にジャックと接した上でも「映画のキャラクターなんだからつべこべ言うな」という意識が透けてみえる気がしてどうも……。まあダニーのほうは成長したと思うのでともかくとして、ニックは最後まで好きになれない大人でした。

あと終盤の死神についてはよく分からなかったんだけど、『第七の封印』に登場するキャラクターらしいということは把握した(ご本人が演じてるのかな)。この辺りは不親切だなと感じたけど雰囲気で流せなくもないので、まあ。

振り返ると文句が多いけど、それでもアクションは派手だったし、映画あるあるネタを擦ったりそれを皮肉ったりするところも楽しかった。何より「創作上のキャラクターとしての苦悩」みたいな話が好きなんだよな私は。それを経ても尚ジャックが「映画のキャラクターで子供のヒーローである自分」を受け入れるところも、ある種の残酷さを内包しているのだと知りつつもなんだか嬉しいんよねやっぱり。