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『ダンスウィズミー』感想

ダンスウィズミー

「そもそもミュージカルっておかしくない? さっきまで普通にしゃべってた人が急に歌い出したりしてさ、そんなのやばい人でしょ。医者に診てもらった方がいいよ。ミュージカルなんてバッカみたい!」

主人公のこの台詞には笑った。私もミュージカルはあまり好きではないけど、さすがにここまで罵るほどではないんよね。苦手な理由は主に歌い出すと物語が停滞してしまうように感じるからなんだけど、それでもそんな私が楽しめたミュージカル映画もあるし、以前よりは好意的に見れることも増えてきてはいる。まあ積極的に見ようとは思えないけど、だからこそミュージカル嫌いの主人公が出てくる映画は面白そうに見えた。けど、乗れそうで乗り切れなかったな結局。

「Tonight」を歌うオープニングやクライマックス、序盤のオフィスやレストランでのミュージカルパートは派手で良かったし、三吉彩花の手足の長さが映えて美しかったけど、中盤以降は大人しくなってしまうんよね。具体的に言うとマーチンを追う旅に出てからは雰囲気が変わる。というかロードムービーになる。道中でも歌は歌うけどミュージカルという感じでもなく、そこは意図的に演出されているようだけど、作品のテンションを下げてしまっているよーな。なのに現実離れした都合のいい展開が次々と起こるので、更に熱が冷めていく。もっと勢いで突っ走って欲しかった。あとミュージカルシーンは現実では静香一人で踊っていて周囲はドン引きしてるけど、村上とのダンスや田舎者ヤンキーたちとのダンスバトルは空想ではなかったようで、この辺の線引きも曖昧で落ち着かない。

テーマはストレートでいいし静香と千絵のコンビも合ってたし、宝田明もダンディかつ胡散臭い感じもあって良かったんだけど、作品を俯瞰すると中途半端な構成が気になってしまう。決して悪くはないだけに、惜しい作品でした。