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『カイジ / ファイナルゲーム』感想

カイジ ファイナルゲーム

とにかく「ひっくり返す」ことだけを考えたような安易な脚本で、あんまり面白くなかった。一番の不満はカイジが自分の人生を懸けてないところかもしれない。今回のカイジにはハイリスクなゲームにわざわざ参加する動機が薄いんよね。もちろん格差社会が更に悪化するとカイジにも多少は影響はあるだろうけど、カイジが今すぐ追い詰められるような状況になるとも思えなかった。それにカイジが日本を救うヒーローのような立ち位置からギャンブルに挑戦するのは、なんかちょっと違うかなとも。私はこうした最初の躓きを最後まで引きずるタイプなので、序盤で映画への期待値はかなり下がってしまった。ちなみにゲーム参戦の動機が見えないのは「最後の審判」の対戦相手だった黒崎もそうで、これがまたよろしくなかった。

肝心のゲームも微妙。手に汗握る心理戦やアクロバティックな戦略で魅せるわけでもなく、運に頼っただけのものだったりそもそもお粗末なゲームだったりするのが……。尺を大量に取っていた「最後の審判」も中弛みを感じてしまった。カイジが事前に仕掛けていた対策はどれも爽快感がなく、黒崎の悪どい裏工作のほうが見どころになっていたものな。画面から迸る藤原竜也吉田鋼太郎の熱量が、ここでは逆にちょっと辛かった。ちょいちょい挟まれる東郷と廣瀬の浅いドラマが更に……。

続く「ドリームジャンプ」ではカイジが自分の命を賭けることになるけど、加奈子の無理のある口癖の「キュー」が苦しいと感じていたところに、カイジが「9か10か」で悩むあたりが、なんというかネタ切れ感をひしひしと感じてしまう。

最後の「ゴールドジャンケン」はカイジの提案によってルールが曖昧になっており、あんまり乗れなかった。ゲームの面白さの前提は明確な勝敗の条件にあるのだと、この時に痛感した。そして高倉の敗因が「金塊を握っていなければグーは絶対に出せないという思い込み」だった、というのも拍子抜け。福士蒼汰のやりすぎるくらいの演技は良かっただっただけに、もったいなかったです本当に。