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ネタバレ映画感想とかいろいろ

『ワンダー・ボーイズ』感想

Wonder Boys

豪華なキャストに惹かれて見てみたら、予想よりずっと良かった。これは好き。マリファナ漬けの小説家を好演したマイケル・ダグラスは合ってたし、眼鏡を頭にかける姿が特に可愛かった。飄々とした食えない編集者を演じたRDJも、こんなに楽しそうに演じる姿を見るのは初めてかもしれない。「ジミー、ジミー、ジミー……」って囁くところは笑った。不安定でフワフワした大学生を演じたトビー・マグワイアも素晴らしく、大仰な演技はしないのに独特の存在感があるから自然と目が行く。『スパイダーマン』を見ていた時は気づかなかったけど、こんなにすごい俳優だったのだなと。とにかくこの三人のキャラクターと演技を見ているだけでも楽しい。音楽も良かった。

ストーリーも地味ではあるけど、小さな騒動が連なって辿り着く先が優しくて心地良い。処女作で才能を発揮したきり長く停滞していたグラディの再生物語としても楽しめたし、瑞々しい才能はあるけど死にたがりのジェームズや、後がなく好き勝手に振る舞うクラブツリーの結末も良かったな。終盤、空に舞う無数の白い原稿と、それを追いかけるクラブツリーの姿も印象的だった。犬が可哀想なことになるからそこは辛いんだけど、それを差し引いても私にとっては久しぶりに「なんか刺さったな」と言える映画でした。