ロログ

ネタバレ映画感想とかいろいろ

『CURE』感想

CURE

ゴリゴリのミステリだと思ってたから、オカルティックなサスペンスだったのは予想外。唐突なシーンの切り替わりや印象的なショットなど、とにかく映像表現が面白かった。更に空の洗濯機が回る音、水音、雨音、波音などで耳にもアプローチをかけてくるんよね。黒澤清作品を見るのは初めてだったけど、面白そうな監督だなと思いました。

だんだん暴力性が露わになっていく高部を演じた役所広司は相変わらず素晴らしいけど(特に文江の首吊りを見た時の表情は見入る)、抑圧からの解放を促していく間宮を演じた萩原聖人も想像以上に良かった。ただ、間宮は人を苛つかせるような話術で弄んでいたけど、わりとこの手のキャラクターにイライラしがちな私が珍しくイライラしなかったな。これは良かったのか良くなかったのか。

終盤の佐久間が「全然覚えてないんだよ」と告げるシーンと、最後のシーンが特に好き。間宮が煽った殺人事件の数々もそうだったけど、煙草を燻らせる高部の後ろで行われようとしている凶行が、あまりにもスッと発生するのがぞわりとさせられて良い。これまでの鬱屈を解放して憑き物が落ちたかのような高部も怖くて最高。