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ネタバレ映画感想とかいろいろ

『千と千尋の神隠し』感想

何度か見ている作品だけど、何度見ても面白い。「神々が集う湯屋」という独特の世界観が最高。夕闇とともに廃墟の赤提灯が灯り、ゆらゆらと影法師が出現し、豚に変えられても肉を食い漁ることをやめられない両親の姿を見せられる冒頭の、ぞわりとする怖さが好き。湯婆婆を中心とした湯屋のキャラクターのギトギトした感じとか、なのに「悪」と断じられる存在はいないところとか、個性的な神々も含めた彼らが織りなす寓意が込められたエピソードの数々も面白い。あと、千尋の劇的で早い成長ぶりも見ていて単純に楽しい。

後半、銭婆に列車で会いにいくところはちょっと停滞感があるんだけど、海を走る列車の映像が良すぎてなんだかんだで見ていられるんよね。千尋がハクからもらったおにぎりを泣きながら頬張るシーンやハクの目の前で湯婆婆が激怒するシーン、千尋がハクとの過去の繋がりを思い出すシーンなんかも、圧倒的な映像表現で描かれるから威力が増して感動も膨れ上がるのだなと。ジブリのそんな基本中の基本とも言える武器を、改めて実感してました。