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『ライフ・イズ・ビューティフル』感想

主人公の後先考えない自己中心的な振る舞いをギャグや美談として描くような作品は特大地雷なので、名作と名高い『ライフ・イズ・ビューティフル』も合うはずがなく、私にとっては嫌いな作品になってしまった。

とにかく軽薄でやかましいグイドのキャラクターがものすごく苦手で、グイドとドーラが結婚するまでの前半は他人への迷惑などお構いなしで求愛するグイドにどうしてもムカムカしてしまう。ジョズエが生まれてからは舞台が収容所に移るけど、瑣末なきっかけで殺されてもおかしくない場所で子供を相手に嘘を重ねていくグイドの姿が痛々しく、見ていてドッと疲れてしまった。父親の嘘を信じて息子が難を逃れる展開はあり得ないと思うけど、映画だから別にあり得なくてもいいんですよ。勢いでも何でもいいから上手く騙してくれればそれで。でもその場凌ぎの苦しい嘘によってあり得ない展開を延々見せられると、なんかめちゃくちゃしんどくなるんだよな……上手く言語化できないけども。グイドの振る舞いは同じ状況の他のユダヤ人にも迷惑がかかりかねないもので、そちらの方にハラハラさせられたというのもあるか。

要するに前半にしろ後半にしろ、グイドは「自分と自分が大事な存在以外はどうなろうと知ったこっちゃない」という考えの持ち主にしか見えず、それ自体は別にいいんだけどそんな主人公を「ユーモアがあってロマンティックで息子思いの父親」として描くことに嫌悪感が湧いてしまう。こうした作風のコメディやドラマはちょいちょい見かけるけど、これはもう「そういうジャンル」として確立されてるんだろうなと。