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ネタバレ映画感想とかいろいろ

『宇宙戦争』感想

トム・クルーズスピルバーグという超大型タッグの作品にしては評判が良くないらしいけど、私は面白かった。確かに後半で失速はするんだけど、概ね「分かりやすいパニックムービー」かつ「恐怖のロードムービー」として楽しめたので満足度は高め。エージェントでも超人でもない、一般人のダメな父親を演じたトムもすんごい良かった。

まず日常が崩壊していく序盤から素晴らしかった。ロビーを探しに行こうとレイが家を飛び出すんだけど、彼はこの時に最初の異常に気づく(余談だけど、ロビーが勝手に車を運転してどこかに行ったことをレイチェルから聞かされ、怒りで凍ったように動かないレイをぐるりと回転しながら映すカメラワークが印象的)。ここからじわじわと異常の正体を探っていく流れが楽しい。異常に対し、逃げずに野次馬やってる人が多いのも面白い。私なら一目散に逃げるけど、現実にはそうでない人もいっぱいいそうではあるので妙にリアルだなと感じた。あとここではトライポッドの放つレーザーをレイが神回避していくのもなんか笑ってしまう。

三人の親子による逃避行では、車を奪われたりフェリー乗り場でのトライポッドの襲撃などで、人間の醜悪な面が大量に見れて嫌な気持ちになれるのが楽しい。ここで夜空を鳥の群れがトライポッドに向かって飛んでいくんだけど、動物が危険を察して元凶から離れていくシーンは多いのにこちらは逆になっており、いつもと違う現象でゾッとできる。あと印象に残っているのがピーナッツバターサンドのシーンで、パンがコントみたいに窓にくっつくのがじわじわ来る。レイのダメな父親ぶりも出ていたし、トムのちょっと大仰な演技とも合ってて素晴らしいシーンでした。

他にもハイウェイが吹っ飛んだり、飛行機が墜落したり、死体が大量に流れてくる川を目撃したり、殺された人々の衣服と灰が空から落ちてきたりと見どころが多い。レイチェルの金切り声が耳障りで若干しんどいけど、それ以上に怒涛の地獄絵図が最高に楽しいんだな。

が、オグルビーと地下室に篭るところからグダっていくのがもったいない。オグルビー役のティム・ロビンスは熱演していたし、レイチェルに子守唄をせがまれて子守唄を一曲も知らないレイが懸命に歌うシーンなどはすごく良かったんだけども。ちなみにオグルビーといいロビーといいやけに好戦的になってしまうのは、異様な状況へのストレスっぽいよな……。まあラストでロビーがしれっと出てきた時は笑ったけども。生きとったんかい。

最後は結局、無慈悲に人類を蹂躙していた宇宙人が地球の微生物によって死滅し、「異物はそのうち体が自然に押し出す」というレイチェルの言葉通りの結末になった。呆気なかったけど、これはこれで「さもありなん」という感じもして私は嫌いじゃないな。