ロログ

ネタバレ映画感想とかいろいろ

『ドクター・ストレンジ / マルチバース・オブ・マッドネス』感想

タイトルからもマルチバースを扱う内容であることが伺えたので、複雑な話になったり安易に話を広げたりするのではないかと懸念してたんだけど、大筋のストーリーはシンプルでいて魔法アクションだのゾンビだのホラーだのごちゃごちゃしており、でもそこも含めてマッドネスかつ濃密で面白かった。特に後半は予測のつかない展開の連続でそりゃもう楽しいよね、と。

ただ、上映開始直後に鑑賞予定だったのに『ワンダヴィジョン』や『ホワット・イフ…?』も見ておいた方がいいと聞いて慌てて手を見たから出遅れてしまったんだけど、それもあって『EG』以降のMCUはますます窮屈に感じてしまった。今のところは打率が高いのでなんとか次も見ようと思えるけど、せめてペースはもう少し落としてくれてもいいんじゃなかろうか。あと同一の宇宙での話に専念してくれえ。マルチバースはもう『NWH』と『MoM』でお腹いっぱいです。ところで『EG』でトニーやキャップたちが行っていた時間移動はマルチバースとは違うの? わからん!

今回はストレンジの成長譚にもなっており、傲慢で他人を頼ろうとしないストレンジがドリームウォークを試みる時には別の宇宙のクリスティーンにフォローを頼み、スカーレット・ウィッチとの戦いではアメリカの力を奪うのではなく彼女自身に頼ることで切り抜け、最後にはウォンにも敬意を示す。別の宇宙の自分やクリスティーンと出会ったことで己を振り返り、やがて自分の本質に気づいていく流れが好き。クリスティーンとの結末や、壊れた腕時計を修復して終わるところも良かった。

いきなり登場した新キャラのアメリカも可愛かった。移動ポータルが星形なのが最高。最終的には彼女を殺さないで済んで何よりでした。よくよく考えたらストレンジは『EG』のトニーや『NWH』のピーターなど、毎回重い選択を迫られて犠牲になっていく人がいる場面に居合わせているんだな。どちらの時も事情を正確に把握しているのはストレンジだけだったから尚更というか。だから今回、アメリカを犠牲にすることなく敵に打ち勝つ道を見出せたのが大きかった。それだけにワンダの結末が哀しいのだけども。

そのワンダはダークホールドに取り憑かれたらしく、いつの間にか闇落ちしててすんげえ驚いた。今回も色んな人を巻き込む大惨事になっており、ラストの自分を見て怯える子供たちへの表情は見ていて辛かった。アベンジャーズのメンバーをここまでの悪役として描くことにも驚いたけど、それ自体は話が面白くなるならオッケー派。ただ、今回の「母親としての妄執に取り憑かれた魔女」という描き方はあんまり面白くなかったし、『ワンダヴィジョン』を踏まえても尚ワンダをそのように描くには説得力が欠けていたよーな。あの変わり様は唐突で面食らったもんな(そいや『アイアンマン3』でもトニーがニューヨークでの戦いを機にPTSDを患っていたことに面食らった)。ところであんな状態のワンダの前に一切登場しないということは、白ヴィジョンもワンダに寄り添える余裕がないほどたいへんな目に遭っている、ということでよろしいのでしょーか。

アクションは相変わらず派手で楽しかった。序盤のタコモンスターとのバトルも痛快だったし、気絶するストレンジをマントがぺちぺち叩くところが好き。ウォンの出番が増えたのも嬉しい。後半の音符バトルに至っては謎すぎて一周回って面白かった。なんやあれ。あとゾンビストレンジの戦い方も尖っててすんげえワクワクしたな。ミラー・ディメンションなどもそうだけど、ストレンジの世界の派手な魔法アクションは今後も楽しみの一つになりそう。