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ネタバレ映画感想とかいろいろ

『魔女の宅急便』感想

子供の頃に好きだった映画を久しぶりに見た。憧れの海辺の街で苦い体験をしながら周囲の人に助けられて成長していく少女を描く作品としては、ストーリーもキャラクターも映像も音楽も素晴らしく、大人になった今見ても面白かった。というか子供の頃より泣けた。宮崎駿の作り出す世界は、風の音や雨の匂いが画面越しに漂ってくるような錯覚に陥るよねやっぱり。あと名曲「晴れた日に…」は学校で演奏もしたことがあったから、今聴くとめちゃくちゃ沁みた。

黒猫のぬいぐるみになりすましてダラダラ汗をかくジジとそんなジジを助けてくれる老犬ジェフ、ニシンとカボチャのパイに纏わるほろ苦い体験、トンボと自転車の二人乗りでカーブを駆けるために体を倒すキキ、飛べなくなったキキがピンチのトンボを救おうとデッキブラシでもう一度飛ぼうとする熱いクライマックス、おソノさんとのやり取り全般など好きなシーンはたくさんあるけど、今回はトンボと打ち解けた直後にキキが怒るシーンが一番刺さった。子供の頃は恋心からの嫉妬と、ニシンとカボチャのパイを不満そうに受け取った子がトンボの友達だったからだと思ってたんだけど、今見ると後者はともかく、前者はキキのトンボへの気持ちが恋に至ってない印象を受けるんよね。あの時キキが不機嫌になったのはトンボの女友達の纏う都会的な空気を見て惨めになり、気後れしてしまったんだろうなと。魔女の黒い格好をキキは気に入っておらず、コンプレックスになっていることが強調されていたから尚更。キキのそうしたコントロールの難しい感情は私にも身に覚えのあるものだから、かなり感情移入できたし絶妙なシーンだったとも思います。