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『TENET / テネット』感想

TENET テネット(字幕版)

TENET テネット(字幕版)

  • ジョン・デイビッド・ワシントン
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これまで見てきたノーランの作品はどれも高水準で面白かったから期待してたんだけど、今回はあまり楽しめないまま終わったからすんげえ驚いた。「時間を逆行する」というアイデアは凄いしそれを映像化するセンスも好みだし、これまでは面白くなかったアクションの撮り方も良くなったと思う。好きな要素もちゃんとあるから余計にもどかしいけど、こんな感想をノーランの作品に抱くのは初めてのことで、なんか思ったよりショックだなこれ! この複雑な気持ちは『キングスマン』を見た時の状況に近いかもしれない。

ルールや状況の説明は今回やけに雑だったし、いつもは「なんとなく分かる」ように作られていたと思うのに「何がなんだかさっぱり分からん」状態で画面を眺めることも多かった。空港での飛行機の衝突や逆行する人間との攻防ではまだついていけたからテンションも上がったけど、クライマックスの大規模な戦闘は画面がごちゃごちゃしてて、何故挟み撃ちをしないといけないのか、誰が何を目的に動いているのか、誰がどこにいるのかすらも把握できなかった……。私がアホなのもあるだろうし、もう一度見ると少しは理解が追いついて面白いと思えるようになるのかもしれないけど、私が求めているのは初回で面白いと思える作品なんですよね。

そして話の理解云々以前に、主人公に共感しづらかったのが一番響いた。未来の主人公はともかく映画開始時点の主人公には任務遂行への動機が薄いように感じて、そこからすでに物語に乗れてなかった。だから最初の空港のシーンまでは退屈で何度も寝そうになったし、主人公がどういうキャラクターなのかも最後まで掴めずニールとの友情物語にも乗れないまま。ラストの二人のやり取りはいいシーンだなと思えただけに、ここは本当に残念だった。

しかしいきなりキエフ(今はキーウかな)のオペラ劇場でテロが発生したり、死期の近いロシア人セイターが人類を道連れにしようと企んでたり、第三次大戦を防ぐことが目的になってたりとあまりにも現実の今を彷彿とさせる要素が多すぎてもうね……。