ノーラン監督が好きな映画と聞いて気になっていたのと、「乗せたヒッチハイカーが殺人鬼だった」というあらすじを見て絶対に面白いやつやんけ、と期待して鑑賞したらやっぱり面白かった。特にルドガー・ハウアーが素晴らしく、色気があって可愛くて格好良くて得体が知れなくて神出鬼没でしつこくて支離滅裂なのに一貫しているようにも見える殺人鬼が最高。ドラマ版『ハンニバル』のレクター博士を思い出すほどの、大迷惑な構ってちゃんムーブがいちいち面白すぎる。短くサクッと終わるのも良し。
やっぱりジムとジョン・ライダーのような、本来なら相容れない者同士なのに誰よりも信頼で繋がっている関係に弱いんだよな私は。警察が二人を引き立てるためだけにひたすら無能に描かれるから尚更。序盤は頼りないように見えたし、神出鬼没なおっさんに付き纏われているのに呑気なところも多かったジムが、終盤には精悍な顔つきになるのもよかった。殺人鬼を殺した後の哀愁の余韻も、バックの夕陽とマッチしていて絵になっていた。この結末はジョン・ライダーにしてみればハッピーエンドなんだろうけど、一方的に見初められて付き合わされたジムにとってはたまったものじゃないよな……（ナッシュもまさか惨殺されるとは思わなかった）。いやほんと迷惑で魅力的な殺人鬼が最高で楽しかった。
