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『バケモノの子』感想

人外には興味ないので期待してなかったんだけど、擬似親子の絆と成長を描く前半は良かった。が、中盤以降は失速。もったいな! 各エピソードの交通整理が上手くいっておらず、散漫なストーリーになっていた。芸能人が多くを占めるキャストも悪くはないけど、過剰な説明的台詞には萎えちゃったな……。やっぱりこれまで見てきた中で楽しめたのが『時かけ』だけなので、私は細田守監督とは合わないのかもしれん。

とにかく中盤、カジュアルに人間とバケモノの世界を行き来できるようになったところで「えー」って声出た。ここで高卒認定試験とか大学受験とか出てくるのもちょっとな。楓も終盤の見事なくらいの鬱陶しいヒロインムーブが久しぶりに見たレベルのもので、特に事情もよく分かってなさそうなのに一郎彦に長々と説教するクライマックスは白けた。そもそも一郎彦の描写も少ないのに後半で暴走されても乗れねんですよ。彼は九太の対となる存在なんだろうけど、扱いが雑で対比が上手く効いてなかったように思います。まあ今まで拳や武器で戦ってたのに、念動力とか闇の力とか出てきたのもよく分からないけども。

あと、宗師様が熊徹にやたら甘いのも気になるんよね。唐突に賢者に会いにいくよう言ったり、跡継ぎを決める儀式では「10拍のカウントでアウト」というルールが無視されてもいる。これでは猪王山が可哀想じゃないですか。ここは「熊徹のピンチに九太が駆けつける」というドラマを演出したかったのだろうけど、こうした「監督の描きたいシーン」前提で物語が進行する箇所があちこちで見られるのも、ちょーっと鼻についてしまったのでした。