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ネタバレ映画感想とかいろいろ

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』感想

Thanos will return.

お前かよ!!! 帰って来なくていいよ!!!!!

と終わった瞬間に突っ込んでしまった。それくらい話に没入してしまったってことで、つまりクッソ面白かったんだけども。これまでの作品すべての要素を放出しているから物量が異様で、でも混乱することなくちゃんと王道を抑えて盛り上げてくるから鳥肌が立つ。そうして上げておいてからの絶望のラストに震えた。おかげで二時間半があっという間でした。

驚いたのがラスボスを主役にしているところで、自ら到達した一方的な理屈を全宇宙に押し付けて星々で虐殺を繰り返してきたサノスが、石を集めて目的を達成するまでが描かれている。これはヒーロー視点だとバッドエンドだけど、サノスを主役とするとハッピーエンドの物語だと解釈できてしまうんよね。宇宙の人口を半分にしてやっと一息ついたのか、穏やかな表情のサノスで閉幕するのも象徴的だった。そう考えると最後に「Thanos will return.」の一文が入るのも理解できる。これまでのMCU作品を見ても恒例の最後の一文は「主人公」に与えられる特権であり、今回もルールに沿っているんだなと。ただ、これまで存在はちらほら仄めかされてはいたものの出番が少なくて蜃気楼のような存在でしかなかったから、驚異のヴィランとしてサノスを主役に据えてしっかり描いてくれたのは良かった。名作には名悪役がやっぱり必須なんだよな。

アベンジャーズについては、あれだけのキャラクターがいてほぼ全員に見せ場が用意されていたのが素晴らしい。私はトニー贔屓なので彼に注目してしまうけど、なんだかんだでキャプテンに繋がる携帯電話を肌身離さず持っていたところに和んだ。初っ端のドクター・ストレンジとのやり取りも楽しい。この二人は予想通り仲が悪いな本当に。いちいち映画の話をするピーターも可愛かった(チョイスが毎回古いのは何なんだ)。キャプテンもヴィジョンとワンダの窮地に駆けつけるところでテンションが上がったし、ストームブレイカーを手に無数の敵を蹴散らす雷神ソーにも痺れる。キャップとソーの「髪切った?」「ヒゲ、真似たろ?」なタモさん的やり取りも最高。他にもソーといちいち張り合うクイルとか、ラストでまたグルートを失ってしまう悲痛なロケットとか、なかなか出てこないハルク(怯えている?)に焦れるバナーとか、バッキーとロケットのコンビとか、ティ・チャラの陛下としての頼もしさとか、悲恋としても盛り上げてきたヴィジョンとワンダの結末とか、とにかく印象的な場面はいくつもある。それだけに彼らが最後に塵となって消えていくのがもう……。必死にトニーに縋り付いて年相応の顔を見せたピーターにもぐっと来た。フューリーが出てきた時は彼を中心にまたここから巻き返していくのだろうと小さな希望に縋ろうとしたのに、その彼も消えてしまうから愕然となった。ロキなんて序盤で殺されてしまうけど、最後まで彼らしいやり方で兄さんを助けようとしていたのが泣けた。

とにかくすごかった、の一言に尽きる。不満を挙げろと言われてもすぐには出てこない。バートンとアントマンの不在は寂しかったけどそれくらいか。早く続きが見たいけど、終わりをもう少し先延ばしにしておきたい気持ちもある。こうして迷える今が一番楽しい瞬間なんだろうな……。