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ネタバレ映画感想とかいろいろ

『ノクターナル・アニマルズ』感想

太った中年女性が弛んだ肉を揺らしながら全裸で踊るオープニング、ゴミ捨て場の赤いソファに置かれた全裸の遺体、スーザンの仕事場や部屋など、とにかく画が鮮烈だった。それらは不快な要素を多分に含んでいるのに、それでも惹きつけられるのはやはりトム・フォードのセンスがすごいのかもしれない。

ストーリーは「お腹に宿った子供ごとスーザンに捨てられたエドワードの復讐劇」に思えたけど、小説の中のトニーは犯人への復讐よりも家族を助けられなかったことを後悔していたし、むしろ復讐する度胸も無さそうに見えたから釈然としない。ただ、最後のスーザンとの待ち合わせにエドワードが来なかったところを見ると、やっぱり復讐だったというオチがしっくりも来る。どちらにせよスーザンは身勝手な女で、それも無自覚という救いようのない主人公だったから溜飲は下がった。けど系統としては好みの範囲だと思うのに、何故かあんまし刺さらない話だったな……。むしろ現実のスーザンとエドワードのストーリーより、再現された小説のストーリーのほうに見入ってしまった。