ロログ

ネタバレ映画感想とかいろいろ

『インセプション』感想

面白かった。派手な夢の世界と万能感、それについて回る危うさ、そうした世界を具現化する圧倒的な映像表現が魅力的。更にストーリーも刺さったからもう大満足。序盤は夢の構造がややこしそうに思えたけど、雨の中を走るバン、ホテル、雪山、海、と階層ごとに分かりやすい目印があったからそうでもなかった。アリアドネが初めて夢の中の街を歩くシーンや、上の階層での状態が下の階層にフィードバックされた時のホテルや雪山のシーンも圧巻。こんな設定を考えたのもすごいけど、それを更に映像化してしまうのもすごいな。重低音が印象的なハンス・ジマーの音楽も良かった。

ストーリーは理解が追いつかないところもあったけど、大体の流れは把握できたと思うし楽しめた。ただ分からないのは虚無でのコブは変わってないのにサイトーが老人になっていた件で、自分から虚無に落ちたコブと死亡して落ちたサイトーでは条件が違うからそのせいかと思ったけど、コブとモルも二人でキャッキャしていた時に老いてたような……いやでも二人で自殺する時は若いままだったか。ああもう分からん。

ラストのトーテムについては、細かい理屈を抜きにして単なる「好み」で言うなら私は回り続ける派。そして絶望したコブがモルと同じように現実を見失い、誰かから今度は自分が植えつけられるという終わりなき連鎖──みたいな地獄の展開を期待しちゃうんだよな。