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ネタバレ映画感想とかいろいろ

『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』感想

見る前はもっとワクワクするような娯楽作を想像していたけど、主役二人のそれぞれの孤独と奇妙な繋がりを描いていて、思ってたのとは違ったけどこれはこれでいいなと。「孤独な人間」や「敵同士だけど理解者はその相手しかいない」といった皮肉な関係に弱いので、フランクとハンラティの関係が私に刺さらないはずがなかった。特にフランクの孤独は丁寧に描かれており、父親の真似事から始まった詐欺を繰り返し、金目当てに寄って来た女と関係を持っても心は満たされず、クリスマスにハンラティに電話して本音を漏らすシーンとか、仲睦まじいブレンダの両親を見てかつての自分の両親を思い出して切なくなるシーンとか、たびたび父親に手紙を出したり会いに行ってはしゃいだりするシーンとか、寂しがり屋の子供を演じるディカプリオの表情の良さもあって印象的だった。ハンラティも妻子と別れて仕事に打ち込む人間なんだけど、だからこそ「家族」に飢えるフランクを必死に追い、逮捕後もあれこれと世話を焼いて「信頼」を教えていくのがいい。この孤独な人間同士の奇妙な関係がとても好き。

印象的だったのはモーテルに泊まっているフランクをハンラティたちが追いかけてきた時で、青いプールをFBIの黒尽くめのおっさん三人で闊歩するところはなんてことないシーンなのに絵面が愉快で楽しかったし、その後のハンラティの騙されっぷりも面白い。マイアミ空港からパイロットに扮したフランクが数人のCAを隠れ蓑にして脱出するシーンも痛快だったけど、ブレンダに裏切られたフランクがハンラティには「奴はこの空港を使う」「おれがここにいるからここだ」と断言されていて、こちらにはしっかり信頼されていることがわかるのがブレンダとの対比もあってニヤニヤする。ディカプリオのパイロット姿が拝めるのも美味しい。

トム・ハンクスとディカプリオとスピルバーグが好きで鑑賞したようなものだけど、期待通りに面白かった。決して派手ではないけど気持ちのいい終わり方やタイトルを含めて好きな映画。