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ネタバレ映画感想とかいろいろ

『インファナル・アフェア III 終極無間』感想

壊れていくラウの幻想描写と時系列のパズルが混在し、おかげでだいぶややこしい構成になってるけど、最後まで見てみると面白かった。難点もあるけど、好きな作品の一つではあるなやっぱり。

ラウが安寧を得られる日は来ないのだろうな、とは一作目を見た時から感じていたけど、やはり彼には最後まで救いがなく、カタストロフを好む私にはそれが美味だった。最終作になってヤンが実は孤独じゃなかったことを、最後まで孤独だったラウの崩壊と並行して見せるのも意地が悪くて素晴らしい。だからこそ「善人になりたい」という欲求が「ヤンになりたい」という歪んだ欲求へと変わり、それが周囲の人間にも露見していくラウの惨めな姿が引き立つ。ヨンを逮捕しようとしたのにヨンが実は正義の警官だと知り、そんな彼を狂乱のラウが殺してしまうという悪循環は、正に「終わらない地獄」の上演といった感があって極上。ヨンも初登場ながら、存在感があって良かった。