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ネタバレ映画感想とかいろいろ

『孤狼の血』感想

ヤクザ映画に興味がないので最初は気が乗らなかったけど、実は刑事のバディムービーだったので思った以上に楽しめた。殴ったり蹴ったり、豚の糞を食わせたり、性器から真珠を取り出したりとめちゃくちゃなシーンもあるけど、容赦のない描写があるからこそ終盤の日岡の心情が理解できる。というか大上と日岡のコンビが良かったな。

日岡は最初は大上を軽蔑してるんだけど、彼を理解するにつれて尊敬していくようになる。この変化が短い時間の中に過不足なく描かれていたし、養豚場でチンピラを無表情で殴りつける日岡の気持ちも理解できた。松坂桃李は昭和ではなく平成の空気を纏っているから最初は違和感もあったけど、その日岡が昭和を体現するかのような大上から意志を受け継ごうとするところにぐっと来る。泥沼に陥りそうだった極道の抗争を、大上とは違うやり方で収束に導いたところも良かった。

好きなシーンは、バーで心配する日岡に大上が自分を曲芸師に例えて語るところかなやっぱり。大上が加古村組の構成員の性器を切って拷問にかけるシーンも、役所広司がノリノリでやってるから楽しかった。あと日本刀に弱いので、ドスを抱えた一ノ瀬の姿は当然刺さるよねと。大上の水死体もインパクトがあったし、あそこで何かが決壊したかのような日岡も良かった。

役所広司に釣られて鑑賞したようなものだけど、任侠、バディ、ミステリ、主役二人を始めとした役者の演技と、それぞれの美味しい要素を堪能できる良質の邦画だったのが嬉しい。