ロログ

ネタバレ映画感想とかいろいろ

『her/世界でひとつの彼女』感想

あまり期待してなかったけど思ったよりずっと楽しめた。AIとの恋愛なんて「あり得ない」と即否定しそうになるけど、実際に二人(?)のやり取りを見ていると、傷心のセオドアがサマンサの優しさや茶目っ気のある言葉に救われる気持ちは分からなくもないし、それが恋愛へと発展していくのも無理はないなと思えた。それくらいサマンサの気遣いには心地良さがあったし、何よりスカヨハの声が良すぎる。ほぼ一人芝居状態だったホアキン・フェニックスの演技も、台詞の妙もあって飽きなかった。

あとセオドアとエイミーの関係も良かったな。最後に二人で夜空を見上げるシーンがとても好き。

「恋ってクレイジーなものよ。いわば、社会的に受容された狂気だと思うわ」

エイミーのこの台詞も印象的で、OSとの恋を謳歌するセオドアを見ていると納得してしまう。そんなセオドアとサマンサの結末は切ないものだったけど、人工知能であるサマンサにとって進化への欲求は止められないものだろうから納得してしまった。

画面もものすごく優しい。セオドアの服の色とか、夕陽の色とか、深夜の部屋の明かりとか、職場のインテリアデザインとか、そーゆーのがとにかく優しさに満ちていて落ち着く。