ロログ

ネタバレ映画感想とかいろいろ

『マイノリティ・リポート』感想

まず「犯罪を予知できる未来の世界を舞台に、予知された犯罪を阻止する刑事」というジョンの設定に惹かれた。そのジョンが今度は自分の犯行を予知されて、アガサと共にクロウに迫っていく場面なんてめちゃくちゃワクワクした。しかしこのシステムだと罪を犯す前に阻止できるから、そこで逮捕することは人権の侵害に繋がるのではないかという疑問が入るし、逆にそうした隙を利用してシステムを熟知する人間が罪を犯していた、という真相も面白かった。ラマーが真犯人なのはすぐ分かったけど、凶行に及んだ方法には意表を突かれたもんな。アン・ライブリーの件も絡めて複雑にはなり過ぎず、ミステリとしても楽しめた。最後にはシステムを利用していたラマーが、逆にシステムによって追い詰められていくのもいい。ウィットワーの退場も、彼が懐疑的に見ていた予知システムがアガサ不在により機能していなかった時に殺されてしまう、という皮肉が効いている。ただ、このシステムは貴重なプリコグの存在に完全依存しているので、どの道すぐに廃れたのだろうけども。

未来のガジェットの描写にもワクワクした。上映当時はまた違ったのだろうけど、今見ると夢物語というわけでもなく、近い未来にありそうな感じがするのが味わい深い。網膜認証に頼り過ぎているから、便利そうに見えて実は脆いんだろうな、と思わせてくれる不安定な世界観も好き。アクションシーンも多くはないけど、時代に合わせたものになっていて楽しかった。

ショーンは殺されてしまったのだろうし、その犯人についても描かれなかったけど、エンディングを見るにジョンは立ち直りつつあるらしい。薬に依存する生活からは脱却できたのかとか、目は大丈夫なのかとか、色々気がかりではあるけどまあ大丈夫なんでしょう多分。