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ネタバレ映画感想とかいろいろ

『ターミナル』感想

ラストで納得の行かないところはあるものの、それ以外は満点ってなくらいに居心地の良い映画だった‬。空港という空間が好きだから、空港で暮らすというシチュエーションには抗えないんだな……。

ほぼ空港でのシーンしかないのに飽きることがなかったのは、ビクターのキャラクター、ビクターを取り巻く個性的な人々、ストーリーのテンポの良さによるところが大きいのだと思う。というかあまりにもトム・ハンクスにしか主役が務まらない映画だったもんで、トム・ハンクスが好きな私としてはそういう意味でもたいへん満足した。彼の「クラコウジア!」の発言も妙に耳に残る。そんなビクターを追い出そうとするディクソンも大人気ないんだけど、彼の空回りしがちな奮闘がまた面白い。

「人は皆、何かを待ってる」というビクターの台詞の通り、ビクターはニューヨークに入国できる日を、アメリアは自分を満たしてくれる男性を、ディクソンは昇格できる日を待っていた。そして最終的には全員が目標を達成する。アメリアは人によって捉え方が変わりそうだけど、理想の男ではないビクターに惹かれつつもビクターのために身を引いた、と私は解釈した。不倫ではあるけど理想の男性のところには戻ったわけで、なんだかそれも切ない。

ただ、結局ビクターが不法入国するのは気になっちゃったな。ビクターは堂々と入国するためにディクソンの誘導も無視して頑張ってたのだと思ってたので、あの終わり方は納得が行かない。最後のグプタの行動は感動的だったけど、だからこそ雑な解決方法になってしまったのが惜しい。それでも刺さりまくったので、そうした不満を含めても私にとっては特別な作品になりました。