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ネタバレ映画感想とかいろいろ

『セブン』感想

雨が降った日に見た。面白かった。後味の悪い作品だと聞いてたけど、真犯人の狙いが綺麗にカチッと決まる気持ち良さがあり、結末の救いのなさよりも美しい構成への快感が大きく上回った。

印象的なのは街によく降る雨と、そこに住む無関心な人々。サマセットも言っていたように、冒頭の夫婦の事件から無関心な人間が多い街だということが何度も描写されていて、サマセットはそんな地獄のような街を苦々しく思いながらも諦めており、一方でジョンは憤りの末に使命を全うしようとする。だからこそ、他所から来た正義感の強いミルズが利用されてしまったのかと思うと……。あとやはり素晴らしいのがクライマックスで、特にジョンの意図を知りながらミルズがジョン殺害への選択を迫られる荒野の場面は、ブラピの演技に引き込まれた。混乱と絶望と悲痛が綯い交ぜになったような、ぐちゃぐちゃの表情と振る舞いが真に迫ってきてものすごく刺さった。人は追い詰められるとああなるんだなと。

諦めつつも、真犯人を追わずにはいられないサマセットも良かった。彼はこれまで孤独だったのだろうけど、だからこそミルズの存在が救いになっていたのかもしれない。そのミルズがああいう結末を迎えてしまったことで、サマセットの絶望はより深くなったのだと思うと遣る瀬無くなる。ちなみにサマセットが図書館で調べるシーンがとても好き。あとモーガン・フリーマンの声がめちゃくちゃいいことに今更ながら気づいた。更に言うと二人の刑事が主人公なので、スーツやベストやサスペンダーやホルスターなどを堪能できたのが美味しい。特に眼鏡をかけたサマセットが一番の御馳走でした。

七つの大罪をモチーフにした猟奇事件が延々描かれるけど、肝心なところは映さないのでグロ要素は控えめで優しい。画面の暗い映画は好きじゃないけど『セブン』の場合はあんまし気にならなくて、それはあの暗さが作品世界を構築する要素の一つになっていたからかなと。