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『ベイビー・ドライバー』感想

音楽とカーチェイスの融合がマッチした、センスフルな映画だった。オープニングからベイビーの超絶技巧的ドラテクを披露するカーアクションにはテンション上がったし、その後コーヒーを買いに行くシーンはMVのようで見ていて楽しい。この時のベイビーのリズム感が、終盤の街を駆け抜ける場面で活かされていたのもいいな。

しかし逃がし屋でしかなかったベイビーが、人を殺してしまうことになるのは遣る瀬なかった。たとえ浅瀬であっても、犯罪に一度足を突っ込んだらそのまま深みに嵌っていくのだなと実感。最後は罪を償って終わるけど、ベイビーの真っ当さが失われなかったのが良かった。色んな人を助けてきたベイビーのために裁判で証言してくれる人がいるのもぐっと来る。ベイビーは無口で人付き合いは下手かもしれないけど、ここは彼が真っ当だったからこそみんな証言台に立ってくれたのだと分かるのがいい。「住む世界が違う」と言ってベイビーはデボラとの逃避行から降りたけど、平然と犯罪が横行する世界はベイビーにとっても本来は合わないものだった。だから彼が罪を償うのは納得もいくし、すごく好きな終わり方でした。

キャラクターもいいんよね。ベイビーとデボラは可愛かったし、特にデボラと初めて会った時のベイビーがキラキラしていて「恋をしている男の子」感に溢れていたのが最高。どんな場面でも一気に不穏な空気に変えるバッツも強烈だったし、ベイビーとバッツの緩衝剤になってくれるかと思われたバディに至ってはまさかのラスボスで驚いた。おかげで後半は展開が読めず、久しぶりにハラハラ出来て楽しかった。ドクも描写はやや浅いけど、ジョーとは対照的な「ベイビーにとっての父親のような存在」になっていたのが面白いと思ったし、この二人の関係をもっと掘り下げて欲しかったな、とも。