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『風と共に去りぬ』感想

四時間の長さと聞いて構えていたのに、間延びするどころか展開が早く、まったくだれなかった。しかも展開は早いのに話にちゃんとついていけるのがすごいし、逆に「こんなハイスピードなのに四時間てどんだけ詰め込んだんだ」と震え上がったけど、本当に最後まで劇的な展開の連続だった。濃密すぎる。それは時代のせいでもあり、スカーレットの激しい気性によるところも大きいのだと思います。そんなスカーレットが魅力的で、我儘で性格の悪い美女が好きな私には序盤から彼女の言動が楽しくてしょうがなかった。それに彼女は確かに酷い女だけど、約束はきちんと守るし、絶望的な状況でも這い上がろうとするなど長所もたくさんある。

聖母のようなメラニーも一見大人しく見えるけど、実はスカーレットとは違う強さを持っており、スカーレットもその強さに助けられていくのがいい。スカーレットを誰よりも理解し、愛していたのはメラニーだったんじゃないかとすら思える。スカーレットとレットは似た者同士だけど、スカーレットとメラニーは正反対なので相性も良さそうなんよね。レットはスカーレットを何度も助けてくれるけど、我の強い者同士だとしんどそうでもある。だから結婚後も上手く行かなかったんだろうと思う。それでもスカーレットは案外レットをすぐ取り戻しそうな気はするけども。

逆に最後まで魅力を見出せなかったのがアシュレーで、後半はこんな男にいつまでも拘るスカーレットにもイライラしてしまった。この人は少なくてもスカーレットには何もしていない。生活能力もないし思わせぶりな態度を取るしでろくな男じゃないのに、それでもスカーレットがアシュレーに焦がれるのは彼だけが手に入らない存在だったからで、つまり無い物ねだりだったんじゃないか。ただ、スカーレットが報われぬ恋をいつまでも追い続けるからこそ、『風と共に去りぬ』は名作たり得たのだと思う。

とにかく有意義な四時間でした。名作と言われる作品にはそれだけの価値があるのだと、改めて実感した。しかしモノクロ映画だと思ってたからカラーだったことには驚いた。