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『世界一キライなあなたに』感想

気まぐれで見てみたけど、予想以上に良かった。貧乏とは思えないほどルーが色んな服を着るので設定と噛み合ってないように思うけど、そんなことがどうでも良くなるくらいにカラフルなファッションが可愛い。くるくる変わるルーの表情もいいし、エミリア・クラークのオーバーな演技も合っていた。ウィルも全てを諦めているが故の色気があり、この手のキャラクターに弱い私には美味しかった。「皮肉屋な男とめげない女」というテンプレな組み合わせも好きなので、ルーとウィルを見ているだけでも楽しかったな。特に印象に残っているのが映画を見るシーンとダンスシーンで、車椅子に乗って楽しそうに踊るのがいいよね。

ウィルが死を望んでいることを知ったルーが、翻意させるべくあちこち連れ出して楽しみを教えようとする場面は切なかった。ルーが教えようとしていることはウィルが事故る前に謳歌していたことばかりで、逆にルーにとっては初めて得られたものが多く、要するに楽しさを教えられたのは実はルーのほうだった、てのがもう。だからそんなルーを見たウィルは、ますます自分が彼女のそばにいてはいけないと思うようになった。旅行がなくてもウィルは死を望んだだろうけど、ルーのやろうとしたことは逆にウィルの決意を促す結果にしかならなかった、という皮肉が切なくてとても好きなエピソードになった。

私は四肢麻痺にはなってないし勝ち組人生を歩んでるわけでもないから、ウィルの死を望む意志への共感は難しいし、ウィルは傲慢な人だとも思う。けど順風満帆な人生を邁進してきたからこそ可能性が潰えた自分の未来に絶望し、同時にルーには一歩を踏み出して欲しかったのだろうと想像することは出来た。

ただ、ルーの元カレのパトリックは可哀想だったな……。