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『ローマの休日』感想

見る前はもっと恋愛に寄せた話かと思ってたけど、未熟な少女が恋と別れを経験し、王女としても成長していく話だったのねこれ。贅肉のないシンプルな作りで素直に楽しめたし、モノクロ映画は初めて見たけどこれはこれで味があっていいな。

とにかくアンがチャーミングで、ラストの王女としての凛とした姿を含めても最高。ジョーによって引き出される豊かな表情がどれも魅力的で、短い時間ながらもジョーが惹かれていくことに納得できてしまう。ファッションだって今見てもめちゃくちゃ可愛いもんな。スペイン広場で二人が合流するところから、ベスパの二人乗り、真実の口でのやり取りなどは「自分はあの『ローマの休日』を観ているんだ」という感動が得られた。

ジョーも絵に描いたような理想的な紳士かと思いきやそうでもなく、アンを寝かせるのにベッドではなくソファに転がすような雑なところがあるし、アンの正体を知った後は「特大スクープを独占できる」という欲に眩んで接していくのも自然でいい。そりゃまともな感覚持ってたら余程美味しいメリットでもなきゃ面倒そうな訳有り人間に関わってる余裕なんてないわないくら美少女相手でも。あとスーツの皺を眺めるのが好きなので、そういう意味でも眼福でございました。

結局二人は結ばれないけど、悲痛なものではなく前に進むための別れだったことが、ラストの記者会見からも伝わってきてぐっと来た。隠し撮りした写真を返すアーヴィングもいいな。彼が写真を売らずに返したのはアンのためでもあるんだろうけど、何よりジョーのアンへの気持ちを汲んでくれたからなんだろうと思います。

ローマの休日』、名作でした。観て良かった。