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『サマーウォーズ』感想

OZがまんま『ぼくらのウォーゲーム!』をブラッシュアップしつつ色々付け足していったような電脳世界で、演出は良かったと思うし後半には熱く盛り上げようとしているのも分かるんだけど、権力によるご都合主義的な展開が気になって没入出来なかった。ご都合主義など気にせず素直に盛り上がれたらよかったんだけど、それが出来なかったのは話に終始乗れなかったからなんだろうな。

まず同調圧力が強い田舎の旧家一族の屋敷が舞台になっているのが、親戚が集まった時の空気が苦手な私にはちょーっとしんどかった。逆に言えばあの疲れる空気をよく再現出来ているとも言えるので、これは褒め言葉なんだけども。ただ、サラッと健二の住基データを閲覧したとか言い出した時は「えー」ってなった。栄ばあちゃんの描かれ方も好きじゃない。人脈を武器にインフラ大打撃で混乱してる現場や行政機関に電話をかけるシーンは「勝手に一人で気持ちよくなってるだけの迷惑な人では?」って思えて微妙になったけど、映画では美談として描かれているから温度差が凄まじかった。厄介な人を厄介な描き方で持ち上げているというか。

でも一番描き方に不満があるのは主人公の健二で、「数学オリンピックの日本代表に入れるかもしれないレベルで数学に強い」「夏希先輩に憧れている」以外の情報が特にない。この二点は強い要素なのに記号的な扱われ方しかされてないのももったいない。他人の親族が集まる屋敷に連れてこられたり(しかもギスギスしているところも見せられる)、身分を偽っていたことで排他的な扱いを受けたり(そもそも悪いのは夏希やろ)、他人のばあちゃんのご臨終に立ち会う羽目になったり(バイトに来ただけなのに重すぎるだろ)で結構キツくないですか? なのに本人は平気そうなんだよな。いやそういうアニメではないんだろうけどどうしても気になってえええ! そこも含めてよく分からない子だったので、最後まで主人公のキャラクターがピンと来なかった。出番の少ない侘助おじさんの方が描写されてたくらいだものな。ちなみに夏希先輩は結構酷い女だし序盤はイラッとさせられるところもあるんだけど、嫌いにはなれなかった。むしろ地雷女タイプのキャラが大好物なので、もうちょい露骨にクソ女だったら好きなヒロインになったかもしれない。

敵については、巨大化すると一気に微妙になることを改めて実感したのと米軍がアホだなー以外の感想はないのだけど、そのラブマシーンとバトルを繰り広げたキングカズマのビジュアルデザインは格好良かった。『ぼくらのウォーゲーム!』は遥か前に見たのでほとんど忘れているし、『サマウォ』を見たことでまた見直したくなっちゃったな。当時は微妙だと思った記憶があるけど、大人になった今見たらまた感想が変わるかもしれないなと。