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『スノーピアサー』感想

スノーピアサー(字幕版)

スノーピアサー(字幕版)

  • 発売日: 2014/06/07
  • メディア: Prime Video

ポストアポカリプスとか列車という箱庭世界とかそーゆーのは大好物なんだけど、これは変な映画だった。突然のカウントダウンにアハッピーニューイヤーとか、革命の最中に寿司を食ってるのとか、壮絶な話なのにシュールな場面もあるからすんごいちぐはぐでカオス。でもこのちぐはぐ感が何故か嫌いになれない。あと列車アクションのある映画は名作、とまでは言えないけど、やっぱり抗い難い魅力があるんだよな列車という乗り物は。

氷河期の地球に辛うじて生き残った人を乗せて走り続ける列車、という設定からしてガタガタなんだけど、これはそういうものだと早々に割り切って見た。前半は画面が暗いのもあって退屈だったけど、カーティスが進軍してからは盛り上がってくる。格差社会の縮図とも言える各車両がバラエティ豊かなのも笑った。

しかしゴキブリ原料のプロテインをわざわざ作ってまで貧困層を生かしているのは、そりゃもーえげつない背景でもあるんだろうとワクワクしていたのに、恒久的かつ効率的にノアの方舟に乗り続けるためだと明かされた時はピンと来なかった。これをあれだけ大掛かりな茶番劇を演じさせる理由とするには、さすがにちょっと弱いよーな。ただ、ギリアムとウィルフォードの結託は予想していなかったから、こちらは素直に驚かされた。そのお膳立てのためだけに自分の腕を切り落としたギリアムはやばいな。カーティスがエドガーを見捨てて革命を優先した時に、ギリアムが何を思ったのかは知りたかった。

そのエドガーを見捨てるシーンもそうだったけど、ウィルフォードの部屋の前で明かされるカーティスのエドガーに関する罪業は、こういうドロドロした人間関係が大好物なので美味しかった。あとクリエヴァの演技にはそれほど注目していなかったから、カーティス役で彼の意外な表情演技を見れたのは良かったなと思う。

先頭車両に行きたいカーティスと列車から降りたいナムグンの対比も印象的で、思い返せばカーティスは前ばかりを見ていたしナムグンは窓の外をよく見ていた。でもカーティスはエドガーを見殺しにしているから降りられない。最後はヨナとティミーを守って死んだことで解放されたのだろうけど、結局彼はどうあっても降りることが叶わない人間だったのだと思うとやり切れない。クリエヴァソン・ガンホは、二人ともそれぞれに纏う色気があって最高でした。

最後は地上で白熊と会って終わるけど、ヨナとティミーは外の世界を知らない子供だし、ヨナに透視能力があるとはいえあんな過酷な世界でやっていけるとも思えない。白熊の餌にされる可能性は高いし、結局人類に未来はなさそう。というか何故ヨナだけ透視能力なんて持ってたのか。クロノールのせい? 関係ないか。

ところで久本雅美にしか見えないメイソン総理がティルダ・スウィントンだと知って「は?」って声出た。まーじかい。