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『シャザム!』感想

シャザム!(字幕版)

シャザム!(字幕版)

  • ザッカリー・リーヴァイ
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いきなりスーパーパワーを与えられた孤独な少年の成長を描くスーパーヒーロー・アクション。外見は逞しい体に赤いタイツと白いマントを身に纏うおっさんだけど中身は子供、という江戸川コナンの逆パターンなんだけど、ザッカリー・リーヴァイの演じる「少年」が本当にそれっぽくていい。あんまり期待してなかったけどスーパーマンバットマンなどすでに知られているヒーローの要素を上手く取り入れているし、ビリーの成長と共に疑似家族や友情もしっかり描いており、予想以上に面白かった。しかし私はやっぱり『BvS』のような暗い作品が好きなので、寂しい気持ちはどうしてもあるんですよね。いやまあ明るい作品がたまたま続いているだけかもしれないけども。

私は基本的に子供を主役にした物語は苦手なんだけど、ビリーにはそこまで苦手意識を持つことがなかったのは幸いだった。子供がスーパーパワーを手に入れたら危ないのでは? と思ってたら案の定で、調子に乗ってスーパーパワーを無責任に使いまくるシーンがあるんだけど、私はいわゆる「悪ガキ」は地雷でそれだけでギブアップした映画も多いから身構えてしまった。けどビリーは悪いことはするものの私の中の最低限のラインを越えることはなかったので、なんとか見れたという感じ。あと彼には『スパイダーマン』のピーターように「大いなる力には大いなる責任が伴う」のだと教えてくれるような大人はいないけど、スーパーヒーローに詳しいフレディを相棒にして、互いに成長していくのは良かったと思う。

ビリーの母については、彼女は当時子供だったとはいえ確かに無責任で酷いんだけど、ビリーはそんな母を責めることなく苦い気持ちを抱えながら母と決別し、自分を想ってくれている今の家族に向き合おうとしていることが、屋上から飛び降りながら「シャザム!」と叫んで変身するシーンから伝わってきて、あそこはぐっと来ちゃったな。

終盤のフレディたちも変身する展開はそこまで熱くはなれなかったけど(単作でのヒーローは戦隊のように増えるより一人の方が好みなので)、予想外で面白かったのは確か。信じられる人がいないからスーパーパワーを独占しようとしたシヴァナと、信じられる人が出来たからスーパーパワーをみんなに分け与えたビリーの違いもよく出ていて、ビリーの精神的な成長の可視化にも繋がっている。そのまま学校でフレディとの約束を果たすのもいいよね。元々はいじめっ子に自慢するための浅い約束でしかなかったけど、最後にはフレディとは本当に親友になれたからこそ活きてくる。スーパーマンが来てくれるのも憎いサプライズでした。

ヴィランであるシヴァナは確かに酷いやつなんだけど、家族には愛されず魔術師にもいたずらに振り回され七つの大罪には利用され、挙句に救済らしい救済もなく、ちょっと気の毒だなと思ってしまった。というか毎回思うけどスーパーヒーローになるきっかけを作るキャラクターって大迷惑な存在が多いのはなんなんだ。魔術師お前のことだぞ聞いてんのかコラ。そもそもビリーも雑に選ばれてたよーな……。