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『ミッドナイト・ラン』感想

ミッドナイト・ラン (字幕版)

ミッドナイト・ラン (字幕版)

  • 発売日: 2015/01/01
  • メディア: Prime Video

ゆるーいアクションとコメディがバランスよく配置された気楽に見れるロードムービーであり、騙し騙されながらも徐々に友情が芽生えていく二人の男のアメリカ横断逃避行が楽しい良質のバディムービーでもあり、これがものすごく面白かった。というかこれほど楽しそうに演技するデ・ニーロを初めて見たんだけど、ウォルシュ役が今まで見た中で一番好きな演技かもしれない。茶目っ気のあるデュークを演じたチャールズ・グローディンの細かい表情演技も楽しい。気がついたらウォルシュの横で小さく頷いたり目でアピールしたりしてるのがいちいち笑っちゃうんだよな。他にも保釈金融、FBI、マフィア、ライバルの賞金稼ぎと多くのキャラクターの思惑が絡んでくるんだけど、まったく混乱しないしみんな個性的で憎めないのがいい。「キャラクターが立っている」という基本を抑えることがいかに重要なのかがよく分かる。

好きなシーンはたくさんあるけど、モーズリーのFBIバッジを盗んだ後にポーズを決めるウォルシュ、機内で騒ぐデュークに手を焼くウォルシュ、元妻や娘に会うウォルシュと付き添う形になったデューク、電話中のトニーにちょっかいをかけるジョーイ、終盤の貨物列車での二人の会話は特に好き。というかウォルシュとデュークのやり取りはどれもいい。エンディングも良かった。荒野でマービンにデュークを奪われてから面白さが更に加速して、あの結末に到達するところも最高。ウォルシュが店を開いてデュークがその会計士になる未来も見てみたかったし、もしかしたらかけがえのない友人同士になれた可能性を考えて少し切なくなるんだけど、だからこそもう二度と会わないことが分かりきっているエンディングがとても好き。これまで何度も交わされてきた「来世で会おう」という台詞が、最後の最後で違う意味を伴うのがまた良かった。名作。