荒くれ者の刑事とヤクザの組長が手を組んで連続殺人鬼を追うバディムービー、というアイデアが美味しい。しかし手を組むからといって必要以上に馴れ合うこともなく、真っ当に犯人を法で裁きたい刑事と面子のために犯人を見せしめに殺したい組長とでは最終的な目的が異なっており、共同戦線を張りつつ二人とも相手を出し抜いてやろうと考えているのもいい。犯人の掘り下げは浅いまんまで終わるけど、主役二人のドライな関係が良かったのであんまし不満でもないな。この内容でも空気が重くならず、むしろテンポも良くライトで韓国映画にしてはゴア描写やバイオレンス要素が大人しかったのがちょっと物足りなかったけども。
素晴らしいのはエンディングで、この二人を組ませてどう決着をつけるのか予想も出来なかっただけに、ドンスの悪党としての格を落とすことなく納得出来るエンディングへと導く手腕に惚れ惚れした。二人の間に安っぽい友情が芽生えて妥協するような展開もなく、テソクは刑事としての仕事を全うしたしドンスはヤクザとしての本懐を遂げた。これ以上の着地点はないだろうな、と思わせる見事な結末でした。ラスト、刑務所でギョンホと再会した時のドンスの嬉しそうな笑みがまた最高なんだよな。
他にも印象的だったのはバス停でのシーン。主役二人と女子高生のやり取りに和んだだけに、このことが後にむごい事件への引き金になってしまうのが遣る瀬無い。だからこそ、二人がギョンホを血眼になって探そうと駆け出すのが熱い。あとは冒頭のドンスの殴るサンドバッグから血塗れの男が出てくるところとか、素手で人の歯を引っこ抜いてその歯を入れたワインを飲ませるドンスとか、二度も車に撥ねられるドンスとか……って全部マ・ドンソクのシーンばっかやんけ！ シンプルでわかりやすい邦題も潔くて良し。
