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ネタバレ映画感想とかいろいろ

『キャスト・アウェイ』感想

孤島に漂流した男の数年間を描くドラマ。ちょっと長めの尺だし島に着いてからは台詞もあまりないんだけど、トム・ハンクスロバート・ゼメキス監督の力なのか最後まで苦もなく見ていられたのはすごいと思う。見ている間はあまり感情を揺さぶられたりはしなかったけど、見終わった後の余韻がいい。

序盤で嵐に捕まった飛行機が太平洋上に不時着して、そこから救命ボートでなんとか海に抜け出したものの今度は荒波に襲われる際の迫力が凄まじかった。見てて普通に怖くなったもんな。漂着後のサバイバル生活でも過酷なシーンは出てくるけど、歯痛から逃れるために強引に歯を砕くところは「うわあ」って声出ちゃったよまじで。歯って歯医者に行かない限り治らんものな……。

しかしバレーボールのウィルソンを話し相手に孤独を紛らわせてやっとのことで帰国できたのに、婚約者だったはずのケリーがすでに家庭を持っていたという現実が待っていたのが残酷。正直こうなることは予想できたけど、ケリーとの再会を求めて四年間を必死に生き延びたチャックの姿を見てきただけに遣る瀬無い。でもケリーのことは責められないんですよね。生死も定かではない婚約者を何年も待ち続けろ、てのは酷だと思う。それでもケリーは全てを捨ててチャックと共に生きていく意志があることを示したけど、敢えてケリーを家族の元に帰したチャックに泣けた。二人のこの再会と別れは残酷で切ない。

しかし帆の代わりとなるトタン板が流れ着いて島から脱出できたように、最後に新たな出会いが訪れるのが優しい。それも未配達の荷物を改めて送り届けた時に、てのがまたいいんだな。チャックが孤島で生き延びるための励みにしていた「ウィルソン」と「ケリー」は失ってしまったけど、唯一失われなかった「天使の羽が描かれていた未配達の荷物」が繋いだ出会いなのだと思うとぐっと来る。十字路で立ち尽くすチャックの姿が「人生」をストレートに表現していたけど、こうして物にしろ人にしろチャンスにしろあらゆる出会いは巡り巡るのだなと。