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『プーと大人になった僕』感想

子供向けの可愛い話かなと思ったら、大人というか社会人向けだった。クリストファー・ロビンに従軍経験があるというのが、やるせないやら何やらでもうね。しかし家庭より仕事を優先して家族に責められるパパの話は大量にあるけど、それを解決するために「一部の富裕層だけでなく、大多数の労働者にも金銭的余裕と時間的余裕と精神的余裕を与えましょう」という至極最もな結論に着地するのはちょっと意外でした。我が国のえらい人たちにも聞かせてやりたいなこれ! ぬいぐるみっぽさを押し出すようなプーのビジュアルに最初は戸惑ったし、ロビンと再会した直後はプーが迷惑な存在として描かれているのでちょっと苛つくことはあるものの、ビジュアルや声にはすぐ慣れて、苛つく以上にやっぱり可愛いクマに癒されました。

ところで100エーカーの森の住人はロビンのイマジナリーフレンドで、ロビン本人も子供の頃からその自覚があったというところが『プーさん』の世界の重要なポイントだと勝手に思ってたんだけど、後半で他人がプーたちを認識していたから戸惑ってしまった。現実と幻想の境界線は明確にしてほしい派なので、プーたちがマデリンとロンドンの街を駆ける活劇は一定の楽しさはあるものの、リアリティラインが曖昧なままだとその楽しさに素直に没入できなくなるな、とも。